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教授: 山下一郎 (Ichiro YAMASHITA)
   酵母は酒類の醸造やパン酵母として人間生活に最も深く関わってきた微生物のひとつである。実用酵母は古くから優良形質をもつ酵母同士を交配させ胞子形成後に得られる子孫の中から選抜されてきた。この古典的育種法は今日でも特色ある製品作りのために欠かせないプロセスである。このような実用上の要請もあって酵母研究では、その初期から胞子形成に関する報告が多く、生物学の研究材料としての歴史も古い。酵母の遺伝子操作系が確立された1978年以降、多くの酵母遺伝子が単離され、それらがコードする蛋白のアミノ酸配列と機能が次々に解明された。これらの中で、細胞分裂や転写調節、あるいは蛋白の細胞内選択輸送等に関する遺伝子の研究がブレイクスルーとなり、ヒトを含めたあらゆる動物や植物の研究に多大な影響を与えている。今日では、全ゲノムの塩基配列が決定されるなど、益々生物学の中心的存在として重要な位置を占めている。このような背景のなかで、1980年代以降、当研究室のアミラーゼ遺伝子および胞子形成を促進する遺伝子の研究が発端となり、遺伝子操作が実用酵母の育種に積極的に応用されることになった。
   平成元年、遺伝子実験施設の開所に伴い動物飼育室の利用が可能となり、メダカを用いた性決定機構の研究も開始した。メダカのオスは女性ホルモンであるエストロゲンによりメスに性転換することが知られていたが、実際に追試してみたところ、完全にメス化したので、本当に驚いたことを昨日のように思い出す。当時、ヒトからエストロゲン受容体遺伝子がはじめて単離されたこともあり、これを分譲してもらい、プローブにしてメダカのエストロゲン受容体遺伝子を単離することから研究を始めた。最近、内分泌攪乱物質(環境ホルモン)によるヒトおよび野生生物の健康被害や生殖機能障害について世界的に関心が高まっている。すでに私達の生活に身近に存在する様々な環境化学物質(洗剤、農薬等)や工業化学物質(塩ビ、ダイオキシン等)の内分泌攪乱活性が指摘されており、深刻な社会問題となっている。この問題に対してバイオサイエンスの立場から貢献すべく、性決定機構や血管形成機構に関する研究の成果を最大限に生かしながら、メダカを環境ホルモン・センサーとして活用することを考えている。
    以下に、これまでの研究成果の概要を列挙する。
  1. 分泌酵素遺伝子の導入による酵母 S. cerevisiae の育種に関する研究
  2. 酵母の転写調節に関する研究
  3. 酵母の減数分裂と胞子形成に関する研究
  4. 環境ストレスに対する酵母の細胞周期調節に関する研究
  5. メダカの性決定機構と血管形成機構に関する研究、および遺伝子組換えメダカを用いた環境ホルモンの生物評価法の開発
  6. メダカの由来など〜ちょっと喫茶タイム〜
  7. 原著論文
  8. 著書
  9. 総説
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